1年間も続く大河ドラマなどかったるいだけ、と思っていたが、「新選組」は毎週欠かさずビデオに録画して見ている。「どうせ、好きなタレントが出演しているからだろ」と言われるかもしれない。しかし、そうではない。確かに、香取慎吾、藤原竜也、山本耕史などなかなかの顔ぶれではあるが、純粋に140年前の幕末に思いをはせながら堪能している。
というのも、実は、昔から新選組の大ファンなのだ。「誠」の御旗の下、自分を信じ、命をかけた男たち。なんともいえないロマンを感じるのは、私だけではないと思う。こう書くと「普段はいいかげんだが、まじめな一面もあるではないか」とちょっとは見直してもらえるかもしれない。だが、なんのことはない。若い沖田総司が好きなのだ。「ミーハー」はどこまでも「ミーハー」である。
新選組に関心を持つようになったのは、中学生の時に見た「新選組始末記」というドラマだった。近藤勇が平幹二郎、土方歳三が古谷一行、そして沖田総司は、なぜか、当時の日本人のイメージとは程遠い「濃い顔」の草刈正雄だった。
内容が面白かったことから、並行して、新選組に関する小説や記録を読みあさった。その数が増えれば増えるほど、総司への憧れは強くなっていった。剣の天才と言われながら、病に倒れ、わずか27歳(ほかにも諸説あるらしい)で、逝ってしまった薄幸の若者。そんなイメージがどんどん膨らんでいった。いつのまにか、私の中で総司は、「色白で紅顔の美少年」になっていた。
近藤や土方と違って写真が1枚も公になっていないことや、これまでに見たドラマで、たいてい、総司役には若くてハンサムな役者が起用されていたことも影響したのだろう(最近では、中村俊介、武田真治もおやりになりました)。「総司は絶世の男前」。そう信じて疑わなかった。もちろん、「ひらめ顔」という説があることは知っていた。だが、1度も見ようと思ったことはなかった。その気になれば見ることはできたはずだが、「もし、ひらめ顔が本当なら・・・」と思うと、その勇気が出なかったのだ。
しかし、ついに私は見てしまった。
1か月ほど前、インターネットで調べ物をしていたときだ。何気なく、検索サイトのページを繰っていたら、「総司の肖像」という文字が目に入った。なんでも、会津若松の白虎隊記念館というところにあるものらしい。
「うん? 総司の肖像? ネットで見ることができるの?」
「見たい」という好奇心と、「やっぱりやめとこうか」というためらい。そのとき、脳裏に、放映中の「新選組」の出演者の顔が浮かんだ。近藤勇と香取慎吾、土方歳三と山本耕史・・・、なんとなく、実物に似ているではないか。きっと、総司も藤原竜也に似ているはずだ。
思い切ってマウスをクリックした。目の前に「総司の肖像画」とする絵が現れた瞬間、私の頭の中から藤原竜也は、どこかへ消えてしまった。
(参考サイト:幕末維新館
沖田総司の肖像)
「これが沖田総司か」。しばらくの間、私はじっと肖像画を見つめるだけだった。色白で(浅黒いという説があったが、これは肖像画だからだろうか)、ぽっちゃりした頬、決して大きくはなく、あっさりとした目。「ひらめ顔」といわれればそうかもしれないが、なんとなく愛嬌がある。子供に人気があったといわれるのもわかる気がする。でも、「紅顔の美少年」となるとちょっと・・・。
現実とはこういうものなのかもしれない。総司と同じように美少年で描かれることの多い源義経も、実は背が低く、前歯が異様に目立った(いわゆる出っ歯)という説がある。自分のことを振り返って見ると、高校時代に友人が「絶対かっこいいから、1回会ってみな」と言うのでいそいそと出かけたものの、目の前に現れたのが好みのタイプとはかけ離れていたために(私は自他ともに認めるメンクイである)、一緒にお茶を飲むのすら嫌で、適当に用事を作ってその場から逃げ出した経験もある。
幸いかどうかわからないが、総司の肖像画は、本人ではなく、似ているといわれた子孫をモデルに描かれたものだという。だから実際の顔は未だにわからないというのが本当らしい。ファンとしては、ほっとしたような、すっきりしないような・・・。
今、私の中の総司は「紅顔の美少年」ではなく、「近所のやさしいお兄ちゃん」というイメージに変わりつつある。確かに、描いていた姿とは程遠い顔ではあったが、決して幻滅はしていない。むしろ、「ああ、総司は実在したんだ」という、これまでにはなかった親近感を感じるようになった。やっぱり、長年、恋焦がれてきた気持ちは、そうすぐには拭い去ることはできないのだろう。それに、「見たのはあくまでも肖像画。写真じゃないし」ということもある。そういう期待感を持たせ続けるのが総司の魅力なのかもしれない。
肖像画を目にした後、ドラマを4回ほど見た。そのたびに藤原竜也のあどけない顔に総司の顔がオーバーラップし、ドラマとはわかっていても、実際の出来事をオンタイムで見ているような気になることがある。その上、最近は、土方役の山本耕史も気になって仕方がない(こちらは、実物もかなりいい男だ)。う〜ん、ますますおもしろくなってきた。
おそらく、この原稿がアップされるころには、舞台は京都に移っているだろう。京都は、学生時代にちょくちょく訪れた場所。個人的にもさまざまな思い出がある。それだけに、今後の展開には期待している。
初めてみた大河ドラマ。1年間という長い期間だけれど、絶対、最後まで見通すつもりだ。
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